おむすびの思い出
子供の時、ただいま~お腹すいた―。って家に帰ると、台所番のばあちゃんが
俵型のごはんに生味噌をペタペタくっつけてにぎってくれた。遊ぶ約束していたあきこちゃんとの待ち合わせ場所まで食べながら歩いたっけ。
運動会のおむすびは中身がぼだっこ(秋田弁でしょっぱいの鮭の事)の海苔むすび。ついつい食べ過ぎて午後の競技には集中できなかった。
子供会で海水浴に行くときは、梅干しの焼きむすびだった。濡れた水着のまま、ゴムの入ったスカート型のバスタオルを首まで上げて、寒い寒いと言いながら食べた。ユミちゃんちのおばさんが親切で差し出してくれた温かい麦茶には塩が入っていて、あまり嬉しくなかった。
味噌むすびや、ぼだっこのソレや、焼きむすびを食べるたびに、
あの時の景色や空気のにおいまでよみがえる。
おむすびの向こう側にある景色の記憶。
考えてみれば、おむすびってファーストフードなんだね。
食べたいと思ったらすぐ出来て、外に持ち出すことができるんだから。
中に入れてはダメなものってあるんだろうか。
あの頃苦手だった「ばっけ味噌」も、今では最高においしい飯の友になってる。
次のお休みはおむすび持って出掛けようかな。
もっとおばさんになってから、今の私を思い出せるように。